2024.05.30
運河を活用して人と街をひとつに!「よこはま運河チャレンジ」
よこはま運河チャレンジの様子。当日は多くの参加者で賑わいました。
運河の可能性を追求し、横浜をもっと魅力あふれる街に
交易の拠点として栄えた港町・横浜。横浜港や赤レンガ倉庫、山下公園などのベイエリアは、年間を通して多くの人で賑わっています。また、こうした人気スポットと関わりの深い関内・関外地区では、近年になって運河や水上交通を活用して人と街をつなぐさまざまなイベントが行われるようになり、注目を集めています。今回は2023年で11年目を迎えたイベント「よこはま運河チャレンジ」についてレポート。関係者の想いや街の歴史についてもあわせてご紹介します。
関内・関外地区の水上交通常設化をめざして
関内・関外地区の歴史
江戸時代初期まで入海だった関内・関外エリアは、当時の大干拓事業によって、吉田新田という一大農地へと生まれ変わりました。そして江戸時代末期に横浜が開港すると、周辺地域一体が開港地に。今もその姿を残す大岡川や中村川が運河として活用され、多くの人や物が行き交うようになったことで、横浜は国際都市として発展していきました。
しかし関内・関外地区は近年、商業・業務の分野で隣接する地区よりも厳しい状況にありました。そこで、関内地区への市庁舎移転を機に、令和2年から12年までの10年間を計画期間とし、地域資源の活用と新しい魅力の創出をめざす取り組みがスタートしたのです。
関内・関外地区活性化協議会
この計画を中心となって推進しているのが、関内・関外地区活性化協議会です。同地区を拠点とする商店街などの活動組織15団体により設立された任意の協議会で、地域一体となっての議論や情報共有を行い、地域の発展に寄与することを目的に活動しています。
また、関内・関外地区活性化協議会には京急電鉄も参画。企画出しや広報活動、MaaSの整備などを通じてイベント開催を支えるとともに、エリア価値向上と人流創出に貢献しています。
濱橋会
関内・関外地区活性化協議会の参加団体である濱橋会も、同地区を盛り上げるために活動しています。同会の副理事長を務める川井さんは「横浜は河川によって豊かに発展してきました。この大切な資産をこれからも活用することで、街をもっと盛り上げていきたいですね。夢は『水上の山手線』をつくること。環状に水の駅を置くことで、水上交通で街を自由に周遊できるようにしていきたいです。そのほかにも、さまざまなイベントの企画・実施を通じて、『関内・関外地区にはこんなに素敵なものがある』ということに気づいてもらえたら嬉しいです」と話します。
水上交通で水辺と周辺の街の魅力をつなぐ!よこはま運河チャレンジ
濱橋会の活動の一つに「よこはま運河チャレンジ」があります。ピア象の鼻や新港ふ頭さん橋、日ノ出桟橋、石川町仮設桟橋などを水上交通によってつなぎ、街の回遊性を高める実証実験を行いながら、横浜港や河川、周辺の街の魅力や歴史、文化を知ってもらう取り組みです。
2023年11月23日には、運河チャレンジ限定のクルーズやパレードが開催され、それに合わせて蒔田公園や日ノ出、元町で食の市・音楽ライブ等が開催されました。当日の様子の一部をご紹介します。
水上交通
元町・中華街駅前に仮設の桟橋が設置され、そこから横浜港を楽しむ「横浜港クルーズ」と河川の魅力を知る「運河ガイドクルーズ」の2つのコースを用意。参加者はクルージングを通じて水上交通の可能性や楽しさに触れていました。
また、当日は京急電鉄が日ノ出桟橋と野毛山動物園を結ぶ「グリーンスローモビリティ」を運行。乗船前後に野毛山動物園や野毛山公園を訪れる人たちの姿も見られました。
運河パレード
プレジャーボードや観光船、SUPやEボートなどが船団を組み、運河で水上パレードが行われました。橋の上からパレード参加者を応援する人の姿も。お互いが手を振り合うのも運河パレードの醍醐味の一つです。
食の市&音楽ライブ
横浜日ノ出桟橋会場、蒔田公園会場の2カ所で食の市と音楽ライブを開催しました。食の市には話題の飲食店が一同に会し、音楽ライブにもさまざまなジャンルの出演者が参加したことで、会場は大いに盛り上がっていました。
消防水難救助隊による水難救助訓練
運河の安全を守る方法を多くの方に伝えるために、横浜市中消防署、横浜市南消防署、鶴見水難救助隊のみなさまが主体となって、水難救助についてのレクチャーを実施していました。
運河伝承サイン
運河周辺の24カ所にラリーポイントを設置。街めぐりを楽しみながら、地域の歴史を学ぶことができました。また、ラリー参加者には先着でハンマーヘッドと周辺商店街で使用できる割引クーポンをプレゼントしました。
リバー&リバーサイドクリーン
参加者は9時に桜桟橋に集合し、運河パレードの会場となる河川をキレイにしていました。また、11時には蒔田公園に集合し、「運がめぐるラリー」をしながらゴミ拾いに励んでいました。
京急電鉄がイベントを陰からサポート
参加者がストレスなくイベントを楽しめるよう、京急電鉄が運営しているMaaSサイトから、水上・陸上の移動手段やアクティビティの検索、予約、決済を行えるようにしました。また、イベント当日の過ごし方や見どころを掲載することで、周知と集客にも貢献しました。
これからの活動にも期待が集まる!
2023年の「よこはま運河チャレンジ」は人と街の多様なつながりを生み出して、無事に終了。横浜の魅力や運河の可能性を、多くの参加者が感じ取っていたように思います。横浜のさらなる魅力の創造や発信をめざす、関内・関外地区活性化協議会や濱橋会の今後の活動にも要注目です。