2024.03.14

三浦半島が「脱炭素モデル地域」に。自治体や地域事業者が先導して進めるカーボンニュートラルへの取り組みとは?

「三浦newcal号」で掲載された株式会社サンオータスの取り組みに関する車内広告。

「モデル地域」を成長機会に!脱炭素と同時に地域課題を解決

脱炭素社会を地域から目指す。そんな動きが日本各地で始まっています。

京急沿線、三浦半島も、そんな地域のひとつ。2022年7月、神奈川県が設定する「神奈川県版脱炭素モデル地域」(以下「モデル地域」)に選出され、自治体や地域事業者らが連携して脱炭素化への取り組みを先導。さらに、脱炭素化を地域の成長機会と捉え、「再エネ利用促進」「地域活性化」「防災対策」の3つの視点から地域課題の解決を図るという目標を掲げています。

その一例として挙げられるのが、2023年10月に神奈川県、株式会社サンオータス、京急電鉄が連携し、3者間で締結した、「三浦半島地域における脱炭素化及び地域課題の解決に向けた連携協定」です。3者が連携・協働することで、三浦半島地域でのシェアモビリティ導入やMaaS利用を促進し、脱炭素化と同時に、渋滞解消や関係人口の増加、地域経済の活性化や災害対策強化などを目指しています。

また、三浦半島地域の活性化に携わる事業者や自治体、教育期間など約300団体(2024年2月現在)で構成するエリアマネジメント組織、「newcalファミリー」は、京急電鉄が提供するMaaSシステムの活用や、駅を起点に各参画事業者が所有する遊休地などへのシェアモビリティ整備による脱炭素化を推進。公民連携により、脱炭素化を通じた地域の課題解決にも取り組んできました。

今回の記事では、これまで「newcalファミリー」が取り組んできた三浦半島地域の脱炭素化施策と、その効果について紹介します。

MaaSシステムで叶える、公共交通シフトと環境意識の向上

三浦半島地域の観光・移動事業者が現在、続々と導入を進めているのが、newcalプロジェクトが展開しているMaaS基盤上での予約決済機能です。このシステムは、京急電鉄が運営する「三浦newcal」サイト内での予約決済や観光検索、移動における経路検索を一元化し、観光ユーザーや地元住民の移動効率化を実現したもの。経路検索では、鉄道やバスに加えて、電動自転車や電動キックボードなどのシェアモビリティも検索結果に反映可能であることから、システム上からも行動変容を促しています

公共交通機関の利用を促進してエリアの脱炭素化を図るとともに、ユーザーの行動データ分析による効果的な観光促進や混雑解消を実現し、地域の課題解決にも貢献します。

また、同システムでは2022年11月に「温室効果ガス排出削減量の可視化機能」をリリース。ユーザーが公共交通機関やシェアモビリティを活用した移動プランを検索した際に、どれくらいの温室効果ガスを削減できるのかが数値で表示され、利用者の環境意識向上を促します。

参加事業者がアイデアをディスカッション!「newcalファミリー」の取り組み

地域の脱炭素化は、自治体や地域の事業者、住民など、地域に関わる人々が主導し、いかに地元発信で取り組めるかが肝とされています。

三浦半島地域では、地域に関わる自治体や事業者など約300団体によって構成される「newcalファミリー」が、年に1度地域の相互誘客や新規事業を創出する交流の場、「newcalファミリー Meetup!」を開催。脱炭素化社会に向けたアイデアを地元目線でディスカッションし、観光客のシェアモビリティ活用を促進するキャンペーンの開発に関わるなど、脱炭素化に向けた取り組みを先導しています。

「三浦newcal号」で掲載された株式会社葉山マリーナの取り組みに関する車内広告。

 

また、「newcalファミリー」に参加する各自治体・事業者は、それぞれが独自に取り組んでいる脱炭素化活動を発信するため、京急電鉄の列車内で掲示する車内広告を作成。2022年12月2日~12月30日の期間限定で運行した「三浦newcal号」で車内広告を一斉掲示し、列車内をジャックしました。なお、運行期間中「三浦newcal号」は日本自然エネルギー株式会社のグリーン電力証書を活用しており、CO₂排出量が実質ゼロでの運行を実現しました。

また、上記の取り組みが好評を博し、「newcalファミリー」の脱炭素に関する取り組み紹介は2023年度も同様に、11月19日(日)〜2023年12月28日(木)の期間限定で京急電鉄列車を広告トレインジャックするかたちで実施しています。

さらに、2023年11月20日(月)〜2024年1月31日(水)には、「newcalファミリー Meetup!」で地域事業者から挙げられたおすすめスポットをスタンプラリースポットに設定した、「神奈川県×京急 三浦半島モビリティクエスト!デジタルスタンプラリー(以下 本キャンペーン)」が実現。参加者は、横須賀エリア、三浦・三崎エリア、逗子・葉山エリアの3エリアから好きなコースを1つ選び、3つのスポットを巡ることで、三浦半島自慢の賞品が当たるほか、シェアモビリティを利用して参加することでモビリティ賞が当たるとダブルチャンス企画も実施し、三浦半島エリア全体でさまざまな事業者や団体、自治体などが連携し、エリアの活性化と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速しています。
このようにエリア一体となって事業を共創する環境が京急沿線には整っているのも魅力であると筆者は強く感じています。

「三浦newcal号」で掲載された株式会社クラフトガレージの取り組みに関する車内広告。

シェアモビリティ普及が脱炭素化のカギ。キャンペーンでおトクに体験を

現在、神奈川県と株式会社サンオータス、京急電鉄の3者は、モデル地域の取り組みの一環として、三浦半島エリア全域で環境にやさしいシェアモビリティの整備を進めています。

三浦半島エリアで展開を進める電動キックボード。

小型EVや電動キックボードなど、環境負荷の少ないシェアモビリティの普及は、脱炭素型のライフスタイルの実現だけでなく、交通渋滞や地域活性化などの地域課題解消にも貢献します。

一方で、脱炭素化に貢献するシェアモビリティの普及拡大には、ポートの増設が不可欠です。

そこで、「newcalファミリー」はシェアモビリティ事業者や京急電鉄とともに、シェアモビリティの拠点となるポートの整備を推進。駅周辺だけでなく、地域事業者の遊休地や駐車場への設置を進め、事業者や地域住民と連携しながら2次交通網を整備することで、地域の回遊性向上に取り組んでいます。

こうした草の根的なエリアマネジメント活動によって整備されたシェアモビリティ拠点は、沿線全体で約90拠点にまで増加。2026年度までには150拠点を目指す見通しです。また、シェアサイクルやEVスクーター、小型EVカー、電動キックボードなどを沿線全体で普及していくシェアモビリティ事業者とはnewcalシェアモビリティパッケージを形成。現在までに15事業者以上のシェアモビリティ事業者と連携し、京急沿線をシェアモビリティの先進地域へと押し進めています。

さらに、こうして広がったシェアモビリティをさらに多くの人に利用してもらうために、京急電鉄がシェアモビリティ利用者を対象としたキャンペーン施策を実施するなど、シェアモビリティの普及はさまざまな角度から促進されています。

沿線全体で拡大を進める小型EVや電動キックボードなどのシェアモビリティ拠点。

シェアモビリティの普及は、地域の脱炭素化において重要なカギを握っています。いまや、京急沿線全体の課題とも言える地域の脱炭素化には、ポートの拡大が必要不可欠。
「遊休地や駐車場などをシェアモビリティポートとして活用したい敷地がある。」そんな京急沿線地域のみなさまは、京急電鉄に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

さまざまなシェアモビリティ手段から地域に最適なシェアモビリティを一緒に整備していく環境が京急沿線にはできつつあります。モビリティ先進地域へ京急沿線での取り組みが加速しています。

▪️シェアモビリティポート設置に関する問い合わせ
京急電鉄 newcal事務局 シェアモビリティ担当:北村宛
TEL:045-225-9246