2024.03.29
陶工房たまどろ 髙津潤一郎さん
今回ご紹介するのは、陶器の製作・販売や陶芸教室を開講する陶工房たまどろ。工房を主宰する陶芸作家の髙津潤一郎さんにお話をお聞きしました。
―陶工房たまどろの事業内容をお聞かせください。
陶器の製作・販売と陶芸教室の開講が中心で、出張陶芸教室も行っています。陶器の製作・販売については、陶芸作家として自分の作品を作ったり、オーダーをいただいて作ったり。作品は日本陶芸美術協会の「陶美展」をはじめ毎年さまざまな展覧会に出品し、ありがたいことに多くの賞をいただいています。
また、陶芸教室については、1日体験コースからから月4回のコースまでご用意しています。「粘土遊びから、プロ養成まで」をモットーに、初心者の方はもちろん、陶芸作家を目指している方も通っています。最小1名から最大18名まで受講でき、団体でのご利用も可能です。団体では、修学旅行生も多いですね。陶芸教室を受講された方は、オプションでバーベキュー体験もできます。工房の敷地は広く、周囲は畑なので、気兼ねなく楽しんでいただけますよ。
出張陶芸教室では、介護施設や学校、公民館、イベント会場などでご希望に合わせて行っています。粘土を触ってかたちを作っていくという陶芸の過程は、幼稚園のお子さんからご高齢の方まで楽しんでいただけますし、手回しロクロなどは足腰が弱っていても十分に使えます。特に介護施設での出張陶芸教室はニーズがあり、皆さん楽しそうにやっていただいています。
―どのような経緯で、ここで陶工房を始められたのですか?
私は大学時代に陶芸に出会い、卒業後にもっと勉強したいと思い、茨城県の笠間にある陶芸の学校に入りました。そこは笠間焼の後継者を育てる養成所で、なんと授業料がタダだったんですよ。そこで笠間焼の手法を学んだのち、師匠に弟子入りし、下働きをしながら経験を積みました。その後、笠間で独立することも考えたのですが、笠間は陶工房の過密地域。実家が長沢だったこともあり、それならば陶工房も少なく観光地である三浦に工房を持とうと、この地を選びました。
―三浦は陶芸に向いているのでしょうか?
陶芸では水仕事も多いのですが、三浦は温暖なので、冬場でも水仕事がそこまで辛くない…という点ではいいですね。笠間はめちゃくちゃ寒かったので(笑)。三浦の土を使うことも考えたのですが、安定供給が難しいので、うちでは笠間の粘土を使っています。
―髙津さんにとって、陶芸の醍醐味は何でしょうか?
ただの土の塊が、人が手を加えることで、最後は宝石のように美しくなる。その過程が好きですね。私が得意とする「亜鉛結晶釉」という技法は、とても珍しい技法で、器面に雪の結晶のような模様がつくんです。釉薬の配合の度合いや温度調整が難しい技法なのですが、うまくいくと本当に宝石のように輝く陶器になります。師匠から言われた言葉の一つに、「陶器に必然性を持たせよ」というのがあって。陶器でしか表現できないものを追求した結果、亜鉛結晶釉という技法に行き着いたんです。
―三浦半島の観光について課題に感じていることはありますか?
三浦というと、まぐろと夏のマリンスポーツのイメージが先行していますが、隠れた魅力がもっとたくさんあると思うんです。例えば、海だけじゃなく陸の景色もきれいなんですよね。地平線が見える場所って、そうそうないと思います。うちの陶芸体験をはじめ、冬も楽しめるアクティビティもたくさんあります。そういう魅力をアピールしきれていないところが課題かなと感じます。最近では、古民家を改装してゲストハウスにしているところなどもありますが、空き家になっている別荘を改装して若手のアーティストを呼ぶとか、そういう動きが進むといいなと思います。私自身も、自分からもっと積極的にアピールし、いろんなつながりをつくっていきたいと考えています。
―三浦newcalと一緒にやりたいことはありますか?
newcalファミリーMeetup!(※newcalファミリーで集まるミーティング。毎年開催。)での出会いをきっかけに、新たにホーストレッキングファーム三浦海岸さんなどとの提携の話が進みました。また、newcalファミリーの事業者を中心に、アートあり、マリンスポーツあり、食ありの、街全体を会場にしたイベントなどもやってみたいですね。今後もnewcalを通して横のつながりが広がり、新たなコラボレーションが生まれることを期待しています。
※このインタビューは2021年12月に行われたものです。
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